山梨といえばぶどう。ぶどうといえばワイン。
で、甲府駅前にある「ワインズ新富屋」のご主人 中山秀人さんに聞いた。
「巨峰のワインって美味しいんですか?」
「食べて美味しいぶどうでは、いいワインは出来ないよ。」
「はぁ。じゃ、どんなぶどうでワインを造っているんですか?」
「ルバイヤートに行ってみたら。」
「ルバイヤート???」
答えを探すべく、勝沼にある丸藤葡萄酒工業を訪ねた。
入ったとたん、ワインのいい香りが鼻をつく。
こじんまりとしたつくりで、ぶどう農家にお邪魔したような気分である。なんとも、居心地がいい。
観光バスで行くような大きなワイナリーとは違い、ブドウ畑の中にぽつんとある知る人ぞ知るワイナリーだ。
「お茶がわりにワインでも飲みながら話しませんか。今年の新酒です。」
とご主人の大村春夫さんがワインを注いでくれた。
「この辺でたくさん採れる、食用の大きくて美味しいぶどうではいいワインは出来ません。水っぽいし、香りも強すぎる。だから、ワインづくりに適したぶどうから自分のところで造っているんです。でも、それが難しくてね。
一度いいぶどうが出来る。(なぁんだ思ったより簡単。)と甘くみて、翌年、失敗。
その次、もっと上手くいくように頑張る。力が入りすぎたのか失敗。
また、気を取り直して頑張る。少し上手くいく。次は又ダメ。
この繰り返しですよ。今でもね。これからもかなぁ。」
あっという間に、数年が過ぎてゆく。
失敗しても尚、たんたんと努力を重ねる彼のワインは魅力的だ。
その、味わいは言うまでもない。(実際に飲んでみるのが一番。)
私は思わず、こんな質問をしてしまいました。
「ご主人って、純粋な方なんですか?」
驚き、呆れているご主人へ、記者から一言。(取材中は言えなかったけど)
「心の汚れた人に、こんなに澄んだワインは出来ません。」
昔、ペルシャの詩人たちが人生の苦しみや憧れを託して謳った4行詩をルバイヤートと言う。
これが、彼が心をこめて造るワインの名前である。
行き詰ったらルバイヤートに行ってみるといい。
最大の努力をしながらも自然の力に逆らわず、それを「当たり前」と言ってしまうご主人に、きっと、励まされるに違いない。
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