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旅コラム

■心あったか「人」情報
 

「たった一人の駅番さん」 群馬県利根郡水上町

「水上館」駅番 桜沢貞男さん

50年間、雨の日も雪の日も、水上駅に立ち続けた「駅番」桜沢貞男さん。その50年について聞いてきました。

水上駅にたった一人残る駅番の桜沢貞男さんが、昨年暮退職されました。長い間お疲れさまでした。あるあるe-宿にとっては最初の取材。取材になれず質問もままならない私たちに「旅って何だろう」と考えさせてくださった桜沢さん。本当にありがとうございました。これからもご健康で幸せに満ち溢れた毎日を過ごされることをお祈りしています。

「王貞治の貞に男です。」と自己紹介してくれたのは、「駅番」歴50年の桜沢貞男さんだ。

「駅番」とは温泉街の玄関口の駅で旅館の旗を持ち、お客様を出迎える仕事である。
彼は昭和28年からこの仕事に就いている。約半世紀、寒くて凍えそうな夜も、台風の日も、ずっと旗を持ってここ水上駅に立ち続けてきた。
台風と言えばこんな事もあった。夜中、強風と大雨で列車が止まった。乗客は列車の中で不安な一夜を過ごす事に。疲れて寝入っていた駅番集に集合がかかる。
「これを列車で待つ乗客の皆さんへお届けして。」
ほかほかとあたたかいおにぎりだった。水上町の全ての旅館が協力しての炊き出しだ。本当なら水上を通過するだけの乗客。でも、困った時はお互い様だ。縁あって水上駅の構内で過ごす一夜。
「少しでも心地よく過ごしてほしい」そんな思いが込められていた。乗客たちもきっと体だけでなく、心までほっかほっかになったに違いない。
「駅番」は、昭和40年頃をピークに年々減少し、最後の友も8月で引退。最近、彼はたった一人になった。
「あの頃は良かったなぁ。仲間も大勢いたし、花番の日には旅館に帰ると板場が一本付けて待っていてくれたもんだ。」「花番」とはお客様に最初に声をかける権利を持つ「駅番」で当番制である。
昔は今と違って泊まる宿を決めて来るお客様はほんの僅かだった。駅についてから「さぁ、今夜の宿は何処にしようか?」というのんびりした旅だったので、「花番」の日にはたくさんのお客様を連れて帰ることが出来たのだ。それこそ「駅番」は旅館のヒーローだった。お銚子の一本も付く訳である。
そんな彼も72歳になった。3人のお孫さんを持つおじいちゃんだ。また、自然を愛する山男でもある。「山菜取りならまかせておけ。」と頼もしい。
こんなすばらしい人生を歩み続けている彼の悩みとは・・・。 「長男が40になるんだけど嫁の来てがなくてねえ。」

山と自然に囲まれて暮らしたい独身女性のあなた。一度水上へ出かけましょう。 勿論、全ての老若男女の皆様方もおいでや水上へ。

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