源さんこと坂内源之亟さんは笑いながら話してくれた。
「かあちゃんはさ「栃木で牧場をやっているから嫁に来い」とウソをついて大阪から連れてきちゃったんだ。でさ、いつになっても牧場を見せないもんだから、「どこ」って言われて、困っちゃってさ、近くの牧場に連れてったら「村営」っていう看板が出ていて、ばれちゃったんだ。ハハハ。」
コロッケの味は、源さんの大切な奥さまが決める。
川治温泉にある「坂文精肉店」はコロッケの名店である。ジャガイモは日本一美味しいといわれる北海道の「いまがね」。もちろん、他の材料もすべて、吟味し選んでいる。とくにパン粉は逸品。口に刺さるんじゃないかと思えるようなパン粉が多い中、さくっとしているのに、邪魔にならず、気持ちのいいパン粉である。そう、懐かしい「パン粉の味」。
今でこそ、コロッケの名店として知られるが、厳しい時期もあった。
「うちの息子がさ、表に看板出したらどうだっていうからさ、黒板用意して娘に書いてもらって出したらさ、少しずつ、売れてきたんだ。でさ、「オランダコロッケ」出したらさ、それがヒットしたんだよなぁ。」と、源さん。
「メンチカツ」(写真右)は豚肉100%のメンチで、肉と野菜のバランスがすばらしく、デミグラスソースをかけ、野菜を添えればディナーのメインに相応しい味である。
「かぼちゃコロッケ」はほんのりと甘いかぼちゃに、青森りんごを食べて育ったという鳥のひき肉を入れた、女性好みの味。
他にも、カレー粉を隠し味につかった「ハムカツ」やじゃがいもとたまねぎの素朴な味が楽しめるオーソドックスな「コロッケ」もある。
さて、オランダコロッケとは?
じゃがいもにあるものを入れてつくったコロッケで、北海道の大地が生んだじゃがいもの素朴な味の中にほんのりとクリーミーな味と香りが漂うコロッケである。(あるもの?)
「たかがコロッケ、されど、コロッケ。」源さんのコロッケは見た目も味もまさに手作り。じゃがいもやたまねぎの甘さがやさしく、味加減がまた絶妙。(だからこそ、何もかけずに食べて欲しい!)
源さんと彼のご家族のあったかい人柄がそのまま感じられるコロッケである。
川治に行ったら、「坂文」に寄って、「オランダコロッケ」の中身を探ってみては?